大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和26(あ)287 判決

主 文

本件上告を棄却する。

当審における訴訟費用は被告人の負担とする。

理 由

被告人野津秀次郎の上告趣意について。

論旨は結局寛大なる処置を乞うというに帰し、上告適法の理由とならない。

弁護人田中秀恵の上告趣意について。

当裁判所の判例に従えば、犯人の処罰は憲法一四条にいわゆる人種、信条、性別、

社会的身分又は門地による差別的処遇ではなく、特別予防及び一般予防の要請に基

いて各犯罪各犯人毎に妥当な処置を講ずるのであるから、その処遇の異なることの

あるべきは当然である。事実審たる裁判所は、犯人の性格、年齢及び境遇並に犯罪

の情状及び犯罪後の情況等を審査してその犯人に適切妥当な刑罰を量定するのであ

るから、犯情のある面において他の犯人に類似した犯人であつても、これより重く

処罰せられることのあるのは理の当然であり、これを目して憲法一四条の規定する

法の下の平等の原則に違反するということはできない。(昭和二三年(れ)四三五

号同年一〇月六日大法廷判決)。論旨は、原判決が被告人の社会的身分につき不利

益な点のみを強調して利益に考慮さるべき身分を無視したのは憲法一四条に違反す

るものであると主張するのであるが、所論のように被告人に同情すべき事情があつ

たとしても、原判決はこれ等の点と(原判決は所論のようにこれ等の点を無視した

のではなく、「本件記録に現われて居る諸般の情状に照らし原審が被告人を懲役四

月に処したのは相当であつて」と判示している)、同人が食糧管理法違反の前科に

よつて処せられた罰金を完納しない内に再び同じ罪名によつて起訴され保釈中更ら

に本件犯行を敢てしたこと等を綜合考量して、同人に実刑を科することを相当と認

めたのである。原判決に所論のような憲法違反の点のないことは、上記の判例に照

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らして明らかである。論旨は理由がない。

なお記録を調べてみても刑訴四一一条を適用すべき事由も認めらられない。

以上の理由により刑訴四〇八条、一八一条に従い、裁判官全員一致の意見を以て、

主文のとおり判決する。

昭和二七年一〇月七日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 本 村 善 太 郎

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